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​ソマティック・エクスペリエンシング®(SE™)

身体の「声なき声」:SE™ガイド 

​本来の自分を取り戻すための穏やかで安全な道のり

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トラウマは人生の一つの事実です。しかし、それが終身刑である必要はありません。
​ピーター・ラヴィーン博士

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これはSE®アプローチを生んだピーター・ラビーン博士の言葉です。辛い経験は誰の身にも起こり得ますが、大切なのは、そこから回復し変容していく力が、私たち自身の中にちゃんと備わっているということです。

トラウマは「頭」ではなく「神経系」に閉じ込められたエネルギー

生き延びるためのエネルギーが未完了のまま残っている状態。

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戦うか逃げるか、その反応を最後までやり遂げられなかったとき、行き場を失ったエネルギーが心身の様々な不調を引き起こす根本的な原因となります。

SE™では、トラウマを単なる記憶やストーリーとして捉えません。

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トラウマは単なる「嫌な思い出」ではありません。ここが最も重要なポイントです。それは主に体の中で起きている「生理学的な出来事」なのです。だからこそ、頭で理解しようとするだけでは解決しないことがあります。一番深い傷跡は、言葉の物語の中ではなく、体の反応として今も生き続けています。神経系は、今もなお、まるで「あの時」の脅威が続いているかのように反応し続けているのです。

トラウマは頭の中のストーリーや記憶だけの話ではありません。

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人間には性質の違う2種類の記憶があります。一つは「宣言的記憶」。これは言葉で説明できる、何があったかという物語の記憶です。もう一つは「手続き記憶」。これは自転車の乗り方のように、いちいち考えなくても体が勝手に覚えている反応やスキルです。トラウマの核心は、単なる嫌な思い出ではなく、この「手続き記憶」として、私たちの体そのものに物理的に刻み込まれているという点です。つまり、トラウマは頭の物語ではなく、体の反応として生き続けているのです。

なぜ「身体」の声を聞くのか?

従来のカウンセリング:ストーリーに焦点を当てる。
SE™:いま、ここでの身体感覚に注意を向け、頭での理解ではなく、身体レベルでの安 心感と調整能力を取り戻す。

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従来のように過去の出来事を何度も語るのではなく、SE™「今・ここ」の身体感覚に注意を向け、安全性を保ちながら神経系のバランスを整えていくアプローチです。

羅針盤 1:感覚のトラッキング

暖かい、ピリピリする、締め付けられ るといった身体の感覚に、ただ優しく気 づいていく練習です。
良い・悪い という 判断は一 切せず 、ただ好奇心を持って 観察します。
いま、こんな感じなんだと気づくこと が、身体の声を聞くための大事な第一歩に なります。

この微細な気づきこそが、身体の知恵と再びつながるための、最初の大事な一歩となります。

羅針盤 2:ペンデュレーション(振り子運動)

公園のブランコや振り子のように、身体の感 覚の間をリズムよく行き来することです。
不快な感覚の中に留まり続けない
「ちょっとした不快」と「安心・穏やかさ」を 交互に感じる
この行き来が「心のしなやかさ」を育てる

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不快な感覚と、安心できる場所、つまりリソースとの間を、振り子のようにリズムよく行き来します。圧倒されそうになったら、すぐに注意を穏やかな場所へ移す。これを繰り返すことで、神経系に「安全に戻れる場所がある」という学習を促します。

 

嵐のど真ん中にいきなり飛び込むような無謀なことはしません。 嵐の縁に指先でそっと触れ、必ず 安全な 港(灯台) にいつでも戻ってきます。

羅針盤 3:タイトレーション(一滴ずつ)

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● トラウマというパワフルな体験に一気に飲 み込まれるのではなく、扱える分だけ少し ずつ触れていきます。
● 神経系が圧倒されることなく、経験をゆっ くりと自分のペースで消化・統合していく ための知恵です。

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このプロセスは、神経系が安全に体験を消化し、統合するための時間を与えます。洪水のように一気に押し寄せるのではなく、穏やかな雨だれのように受け取ることで、最も確実で効果的な回復へとつながります。焦らず、自分のペースで進めることが、このタイトレーションの鍵です。

​回復のプロセス:穏やかな雪解け

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● 回復は競争ではありません。春の暖かい日差しでじわーっと雪が溶けていくような、穏やかなプロセスです。
● 無理やりドライヤーで溶かそうと焦ると、 身体はかえって固く凍りついてしまうことがあります。
● あなたのペース が、常に正しいペ ースです。身体の自然なリズムを信頼しましょ う。

身体は帰り道を知っている

回復の旅とは、何か特別な自分になることではなく、 ただその内なる声に耳を傾ける方法をもう一度思い出すことです。

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癒しのメタファー:金継ぎ✦ ✦ ✦
※傷を隠さず、割れた部分を金で際立たせる、日本の伝統的な修復 技法

傷跡は、その器が持つ唯一無二の歴史です。

回復とは元通りになることではなく、傷を含めてよ り強く、自分らしく生きていくことです。

更に、ソマティック・エクスペリエンシング®(SE™)とは

ソマティック・エクスペリエンシング(Somatic Experiencing®, SE™)は、ピーター・A・ラヴィーン博士によって開発された、トラウマの症状を解消するための身体志向の心理療法です。

この療法は、トラウマを単なる「心の傷」として捉えるのではなく、「体が有機的に記憶している、中断された生体防御反応」として理解します。SEは、人が本来持っている内なる力と回復力を信頼し、神経生理学的なアプローチを通じて、トラウマの記憶と安全に「再交渉(再処理)」していくことを目指します。

SEの中心的な目標は、トラウマ体験によって引き起こされた「凍りつき」の状態から、個人の持つ本能的な回復力を活用して、心身のバランスと生命力を取り戻すことにあります。

なぜ身体志向のトラウマ療法がPTSDの回復に良いのか

PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状は、トラウマの根本的な原因である「未完了のまま体に閉じ込められたエネルギー」に直接働きかけなければ、完全に癒されることはありません。

トラウマは「エネルギーの凍りつき」である

人間は、生命の脅威に直面すると、「闘争(戦う)か逃走(逃げる)か」という生体防御反応のために、膨大なエネルギーを体内に動員します。しかし、あまりに圧倒的な脅威に遭遇し、逃げることも戦うこともできないと判断すると、防御の最終手段として「不動化(凍りつき)」の状態に入ります。

このとき、動員されたエネルギーは放出されず、神経系の中に閉じ込められたままになります。これがトラウマの痕跡となり、時間が経っても、そのエネルギーが不安、パニック発作、過覚醒、怒り、身体の痛みといったPTSDの症状を引き起こし、絶え間なく続く「生き残りのための警戒状態」を生み出します。

SE™は体の自然治癒力を活用する

SE™を含む身体志向の療法が効果的である理由は、この「凍りついて閉じ込められたエネルギー」に直接アプローチするからです。​

 

SE™は、過去の出来事を変えることはできませんが、トラウマの記憶によって支配されていた体の反応と自己像を根本から変容させ、平和と心身の調和を取り戻すことを可能にします。

SE™ ソマティック・エクスペリエシング®
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