top of page

​アダルトチルドレンからの回復

生きづらさに気づいた、その先へ—生き方のスキルを、ここから身につける

ASK(特定非営利活動法人アスク)認定・依存症予防教育アドバイザーである公認心理師・臨床心理士が、アダルトチルドレン(AC)のカウンセリングを行っています。

機能不全家庭で育ち、子ども時代に「生きるためのスキル」を学ぶ機会がなかった方は、感情の扱い方、人との境界線の引き方、自分を大切にする行動など、日常を生き抜くための基本的な力が育ちにくい状況にあります。

その生きづらさを和らげるために、アルコール・薬物・ギャンブル・過食などに頼ってしまう—それが依存症への入り口になりやすいことは、臨床の場でも、依存症予防教育の現場でも、繰り返し確認されています。

当ルームのACカウンセリングは、「気づき」にとどまらず、回復に必要な生き方のスキルを学び、身につけていくことを目的としています。

アダルトチルドレン(AC)としての生きにくさにすでに気づいている方への回復支援という観点や、また、依存症の予防という観点からも、ライフスキルを丁寧に積み重ねていくアプローチをご一緒にすすめます。

機能不全家庭で育つということ

健全な人間関係のモデルを知らないまま育った方は、しばしば人間関係に対して過剰な理想を持ちます。

「完全にわかり合える関係」「常に自分にとっていい相手」——そんな像を無意識に描いてしまうのです。

そして、相手のちょっとした欠点やすれ違いに直面したとき、「この人はダメだ」「この関係はもう終わりだ」と、一気に関係を切ってしまう。

心理学ではスプリッティング(分裂)や白黒思考(二分法的認知)と呼ばれる現象です。「完全にいい人」と「完全に悪い人」の間に、グレーが存在しない状態です。

その結果、人間関係をリセットし、また新しい「完璧な関係」を求めて転々とする——どこへ行っても同じことが繰り返され、「自分には居場所がない」という感覚だけが積み重なっていきます。

しかしこれは、意志が弱いとか人格に問題があるということではありません。

「程よい関係」を学ぶ場が、子ども時代になかった——ただそれだけのことなのです。

「全か無か」の罠——スプリッティングと白黒思考

機能不全家庭で育った子どもは、生き延びるためにそれなりの工夫をしてきました。

感情を押し殺す、空気を読む、存在を消す——それは当時の環境に適応するための、精いっぱいの知恵でした。

しかし大人になって社会に出たとき、深刻な問題が浮かびあがります。「普通の人間関係がどんなものか」を体で知らない、という問題です。

健全な家庭では、親の姿を通じて子どもはごく自然に学びます。意見が違っても話し合う、少し我慢して相手に合わせる、それでも関係を続ける——そういった「程よい関係のつくり方」を、日常の中で無意識に身につけていくのです。

ところが機能不全家庭には、そのモデルがありませんでした。

「気づき」だけでは回復できない

「自分がACであると気づくこと」は確かに大切な第一歩です。

しかし気づきだけでは、生きづらさはなくなりません。

AC概念の生みの親であるクラウディア・ブラック博士は、ACの回復の最後のステップは「新しいスキルを学ぶこと」だと言います。

感情の扱い方、自他境界の設定、自分を大切にする行動、ノーを言うこと、他人からの言葉の攻撃をかわすこと——これらはすべて、学ぶことのできる「技術」です。

子ども時代に学べなかったものは、大人になってから学べばいい。

何歳からでも、遅すぎることはありません。それが、本当の意味での回復へとつながります。

気づきは、出発点に立ったということ。
回復の本質は、子ども時代に学べなかった生き方のスキルを、
大人になった今、少しずつ身につけていくことです。

生き方にも、技術がいる——ライフスキルとは

ライフスキルとは、「生き方の技術」のことです。衣食住や仕事に関わる生活能力とは違い、日常のさまざまな問題や課題に対処していくための心理社会的な能力のことです。

ライフスキルを身につけていないと、周囲に流されてしまい、自分の気持ちをうまく伝えられなかったり、問題を解決できなかったり、つらいときにどうしていいかわからなくなります。

しかしスキルですから、誰にでもわかるコツがあり、練習すれば身につけられます。そして、いったん身についたスキルは、他のさまざまな場面にも応用できます。

あなたの生き方の「道具箱」を、少しずつ満たしていく——それが回復のプロセスです。

WHO(世界保健機関)によるライフスキルの定義

​「日常生活で生じるさまざまな問題や要求に対して、建設的かつ効果的に対処するために必要な心理社会的能力」

意思決定・問題解決・創造的思考・批判的思考・コミュニケーション・対人関係スキル・自己意識・共感性・感情対処・ストレス対処

WHOは1998年の会議でライフスキル教育の重要性を提唱し、アルコール・薬物問題、暴力、自殺などの予防において、知識の伝達に加えてライフスキルの習得が不可欠であることを示しています。当ルームのアプローチは、この考え方を臨床実践の基盤に置いています。

ACが身につける6つのライフスキル

①セルフエスティーム(自己信頼)——自分を好きになるスキル

いつも自分よりも他人を優先してきた方、「自分なんかどうせ」と思い続けてきた方にとって、「自分自身の親友になる」という発想そのものが新鮮かもしれません。

自分が何を感じ、何を望んでいるか——まず自分の声に耳を傾けること、そして自分を大切にすることが出発点です。

心の中の批判的な声(「もっとがんばれ」「どうせ無理だ」)に気づき、それに落ち着いた声で言い返していく練習も、自己信頼を育てる大切なスキルです。

②感情対処——気持ちをキャッチし発信するスキル

感情を押し殺すことで生き延びてきた方は、自分が今何を感じているのかさえわからなくなっていることがあります。

感情に「いい・悪い」はありません。感情は大切なサインです。

自分のパターンを知り、感情に名前をつけ、そのサインを受け取ること——これは才能ではなく、練習で身につく技術です。

感情を押しこめてきた時間が長い分、「気持ちを感じる力」は少しずつ、丁寧に育てていけます。

③自他境界と親密さ——人づきあいの土台となるスキル

機能不全家庭では、境界(バウンダリー)が存在しないか、常に侵害されていました。自分と他人の境目を理解し、適切に保つことが人間関係の土台です。境界はガッチリした壁ではなく、自分で上げ下げできるもの。また「一体化」と「親密さ」は違います。本当に親密な関係とは、自分のままでいながら、お互いを尊重し合うものです。

④他者の圧力から身を守るスキル

「断ったら嫌われる」「みんなと同じにしなければ」という恐怖は、機能不全家庭育ちの方に特に強く現れます。

他者の圧力を見分け、自分の意志でノーを言う技術を身につけることは、自分の人生を自分で生きるための基本であり、同時に依存症予防の観点からも極めて重要なスキルです。

⑤自己決定と情報——自分で決断するスキル

誰かに決めてもらうことに慣れていた方も、何も決めてもらえなかった方も、「自分で決める」という経験が乏しいことがあります。

自分で決め、結果を自分で引き受けること。

たとえ失敗しても「誰かのせい」ではなくなる——そこから初めて、本当に学ぶことができます。

正しい情報を集め、自分の価値観に照らして選ぶ練習を、丁寧に積み重ねます。

⑥対人関係——アサーティブなコミュニケーション・スキル

攻撃的になるか、引き下がるか ——機能不全家庭育ちの方はこのどちらかに偏りやすい傾向があります。

アサーティブとは、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にしながら、正直に伝えること。

「対等」「率直」「誠実」「自己責任」をキーワードに、気持ちを伝える、頼む、NOを言う、批判を受け止める、怒りを扱う、話し合う——これらすべて、練習で身につけられる技術です。

回復とは、新しい自分を育てること

自分がACであると知ることは、「なぜ自分はこうなのか」という長年の謎への答えになります。しかしそれは、出発点に立ったということです。

回復の本質は、子ども時代に学べなかった生き方のスキルを、大人になった今、少しずつ身につけていくことです。道具箱が少しずつ満たされていくにつれて、人間関係が変わり、自分への見方が変わり、生きることが変わっていきます。

そしてそのプロセスは、依存症への予防につながり、またすでに依存的なパターンがある方にとっては、回復を支える根拠になっていきます。

何歳からでも、遅すぎることはありません。

画像1.png
bottom of page