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大阪府|堺市の女性専用の心理相談室【箱たぬきカウンセリングルーム】

臨床心理士によるカウンセリング・箱庭療法・SE™トラウマケア

​私たちは、子どもを生きることができませんでした。

アダルトチルドレン(AC)と小児期逆境体験への理解と支援

内なる子ども(インナーチャイルド)の本来の姿と変容

人は本来、子どもの頃に純粋で、世界とつながりながら「今」を生きていました。自然との一体感を感じ、直観力や自発性、生命力に満ちあふれていたのです。これが「内なる子ども(インナーチャイルド)」の本来の姿です。

しかし成長の過程で、さまざまな出来事によってこの自然な子どもは傷つき、「傷ついた子ども」として心の奥に隠れてしまいます。そして、これ以上傷つかないようにするために、人は力を振り絞って「コントロールする子ども」という姿を身にまといます。たとえば、感じないふりをしたり、感情を抑えたり、誰にも助けを求めずに自分だけでなんとかしようとするのです。

その結果、心を閉ざし自分を守ることを覚え、生き生きとした感情や遊び心、そして創造力を置き忘れてしまいます。このように子ども時代の痛みを抱えたまま大人になった人を「アダルト・チャイルド(AC)」と呼びます。

過去の痛みの正体:慢性的な喪失とそれを見えなくする要因

アダルト・チャイルドの人は、心の奥に「慢性的な喪失」を抱えています。しかし、自分が何を失ったのかをはっきりと自覚することは難しく、ただ漠然としたむなしさや「何かが足りない」という感覚、「今の自分ではだめだ」という不安として感じられることが多いのです。この喪失感を埋めようとして人や物に依存したり、大丈夫なふりをしても、そのむなしさは消えてくれません。

この背景には、真実を見えなくする4つの要因があります。ひとつは「否認」です。これは心の痛みから自分を守るための防衛であり、感情を切り捨てたり、大したことではないと理屈をつけたりします。

次に「孤立」があります。本当のことを話せなかった子どもは情緒的に孤立し、危機的な状況でも家族と団結できず、大人になってからも人との関わりが表面的になりやすくなります。

そして「硬直性」。これは「物事はこうあるべき」という独善的で融通のきかない考え方で、厳格な家庭だけでなく、依存症などの問題を抱えた家庭にも共通しています。

最後に「シェイム(自己否定感や恥辱感)」です。これは「自分は欠陥がある」「どこか間違っている」という感覚であり、根っこには親から拒絶された体験があります。

 

こうした要因によって、アダルト・チャイルドは「話してはいけない」「感じてはいけない」「信頼してはいけない」といったルールを心に刻み込み、自分の感情や本当の思いを隠して生きるようになるのです。

失ったものの正体:喪失と見捨てられ体験

否認によっては率直さや正直さを失い、孤立によって情緒的なつながりや信頼感を失います。硬直性は柔軟で自発的な選択肢を奪い、シェイムは「自分には価値がある」という感覚を失わせます。こうした喪失は、実際に起こった出来事だけでなく、本来起こるべきだったことが起こらなかったことからも生まれます。たとえば、必要なときにかまってもらえなかったり、愛していると言ってもらえなかったりすることも、大きな喪失につながるのです。

喪失には「必要な喪失」と「不必要な喪失」があります。必要な喪失とは、学校への入学や引っ越し、大切な人の死といった人生に避けられない出来事であり、親のサポートがあればその痛みはやわらぎ、子どもの中に強さや健全さを育てます。一方で不必要な喪失は、こうした自然な喪失を経験する子どもが、親からの支えを得られなかったり、感情を表現することを許されなかったときに生まれるものです。これは「見捨てられ体験」とも呼ばれます。

子どもには本来、ありのままの自分として大切にされる権利があります。その子自身として慈しまれ、一貫性や安全、暖かさ、理解、無条件の愛を与えられる権利があります。そして、ひどく傷つく状況から守られる権利があります。これらの権利が奪われることこそ「見捨てられている」ということなのです。

見捨てられ体験には、身体的なものと情緒的なものがあります。身体的な見捨てられ体験とは、適切な生活指導や栄養、衣服、住環境、安全や保護が得られないことを指し、虐待も含まれます。

子どもは「この世界は安全ではない」「自分は世話をしてもらうに値しない」と感じます。情緒的な見捨てられ体験とは、親が子どもの感情やニーズに無関心で情緒的に不在であったり、本当の自分を隠さなければ受け入れられなかったりすることです。たとえば、間違いが許されない環境や、感情の否定、存在そのものを否定するような叱責です。このとき子どもは「自分には価値がない」「自分は必要とされていない」というメッセージを受け取ってしまいます。

境界の混乱:見捨てられ体験を引き起こす要因

家族の中での境界の混乱もまた、子どもを深く傷つけます。境界とは「自分は他の人とは別の独立した存在である」という感覚を保証するものです。親が子どもを友人や同盟相手のように扱い、不適切な情報を与えたり、親自身の感情や行動の責任を子どもに負わせたりすることがあります。

また、親が自分のニーズを優先して子どもを利用したり、子どもに「親と同じであること」を求めたりすることもあります。さらに、親が子どもを自分の延長のようにみなし、果たせなかった夢を託すこともあります。これらの経験を通して子どもは「自分の感情やニーズはよくない」「人の期待に応えるために自分を放棄しなければならない」と信じ込むようになります。

境界が尊重されないとき、子どもは「自分には価値がない」「ありのままの自分には価値がない」という強いメッセージを受け取ります。その結果、シェイム(自己否定感)が心の奥深くに刻み込まれるのです。

癒しと再生のプロセス

喪失が与える影響の深さは、起こった時期が幼いほど強くなります。また、不名誉な評判がついているかどうか、外部からのサポートがあったかどうか、喪失が積み重なったかどうかによっても異なります。

大切なのは、過去を振り返りながらも「強さを強調しすぎて再び『話すな』のルールに縛られないようにすること」です。

私たちは、これまで身につけてきた古いルール -感覚を信じない、身構える、口を閉ざす― を問い直し、自分自身の新しいルールをつくっていくことができます。そのためには、過去の痛みに向き合い、悲しみを癒していく作業が必要です。回復はいつからでも始めることができます

新しい生き方とは、「本来の自分ではないもの」に縛られなくなることです。子ども時代の体験から「自分には価値がない」「私が悪いんだ」と信じ込んでしまったことは、真実ではありません。

過去を探ることは暗い部屋に明かりをともすような作業です。恐怖に突き動かされるのではなく、自由へと向かう力が、そこから生まれていくのです。

 

カウンセリング

小児期逆境体験やアダルトチルドレン(AC)に焦点を当てたカウンセリングは、過去の影響を理解し、抑圧された感情を解放し、自分自身を大切にすることが重要です。カウンセリングでは、安心できる環境の中で自分の感情や体験を表現しながら、それらを一つ一つ丁寧に整理していきます。

小児期逆境体験やACの影響で悩んでいる方が、一歩ずつ希望を取り戻し、自由で充実した人生を歩むための大切なプロセスをご一緒します。​​

アダルトチルドレンからの回復

​私たちは、人を頼らずに、〇〇(依存対象)に頼りました。

アディクション

アディクション(依存症)への理解とサポート

アディクションとは、お酒や食べ物、薬物、ギャンブルや人間関係など、何かに強く依存することで一時的に心の痛みを和らげようとする心の動きです。多くの場合、その背景には「つらい感情から少しでも楽になりたい」という切実な願いがあります。これは弱さではなく、痛みに対して人が選び取った「自己治療」のかたちだと言えます。

しかし残念ながら、この方法はあくまで一時的なものにすぎません。依存対象に頼っている間は楽になれても、苦しみの根本的な原因や背景を取り去ってくれるわけではありません。だからこそ、多くの人が「やめたいのにやめられない」という葛藤を抱えることになります。

アルコールを例にすると、その作用はほんの短い間ですが「普段は感じられない感覚」を与えてくれます。無力さを抱える人には力があるように感じさせ、自信が持てない人には勇気を与え、孤独を感じている人には人とのつながりを感じさせ、深刻に生きすぎている人にはリラックスする感覚を与えます。たとえそれが薬物による一時的な感覚であっても、体験した本人にとっては「ないよりはずっとまし」と思えることも多いのです。

例えば、普段から「自分がなんとかしなければ」と強い責任感を抱えて生きている人が、初めてアルコールを口にしたときに、「一人で背負わなくてもいいのかもしれない」と感じ、はじめて肩の力を抜く体験をすることがあります。けれども、その人がアルコール以外の方法でリラックスする術を知らなければ、お酒に頼り続けるようになってしまうこともあります。

こうした依存の背景にあるのは、ただの意思の弱さではなく、誰にも気づかれずに抱えてきた痛みや孤独です。だからこそ、依存をやめさせることだけを目的とするのではなく、「なぜそうせざるを得なかったのか」を共に理解していくことが大切です。そこに気づくことが、依存からの回復への第一歩になります。

当ルームでは、依存症そのものを治療することはできませんが、その問題に至る背景にある心の痛みや抑え込んでいる感情に目を向けるお手伝いをしています。

 

従来の「意志の弱さ」や「脳の作用」とする見方から離れた人間関係の問題として、根底には他者への不信感と孤立があり、そのため人に頼らず物や行為に頼る「信頼障害としてのアディクション」と捉えています。また、精神的苦痛や心理的問題を和らげる自分なりの治療手段として物や行為に頼るという「自己処方仮説」の考え方に基づいてカウンセリングを行っています。

勇気をもって足を運ばれた方は、問題解決の一歩を踏み出したと言えます。ご本人の持っている回復力を信じ、お話を聴かせていただきます。

ご留意いただきたいこと

アルコール・薬物依存症と診断されている場合、断酒・断薬が安定していない状態でアダルトチルドレンや心の痛み・感情の問題に取り組むと、スリップ(再飲酒・再使用)の要因が高まるとされています。一般的には、断酒・断薬から3〜5年以上が経過した後に、これらの課題に取り組むことが推奨されています。

時期によっては、カウンセリングや心理療法そのものがスリップの引き金になることもあります。
そのため、安定期に入っていない方には、まず依存症専門の医療機関での治療と自助グループの活用をお勧めします。

孤独な病としてのアディクション

依存症は「孤独な病」とも言われています。適度に人に頼ることができず、代わりに物や行為に依存してきた結果、問題は深刻化していきます。

一人で改善しようとするのは困難であり、継続が難しいことも多いです。
周囲の理解や社会的なサポートを得て、孤立を防ぐことが、回復への道を開く第一歩です。

ASK認定依存症予防教育アドバイザー
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